加速する日本の住宅の省エネ対策。
2025年以降に順次実施される住宅の省エネの在り方を見越して、家を新築したり改修したりする場合、その費用が気になるところです。
省エネ性能・断熱性能の高い家づくりをするには、内容に応じた初期費用を考えなければなりません。
でも、将来まで見通したときの効果はとても大きく、CO₂排出量削減や資産価値への影響はもちろん、暖房費などの光熱費の節約、さらに暖かい家の実現はさまざまな健康リスクの回避につながり、医療費の抑制にも役立ちます。
国や地方自治体などは省エネ住宅を普及させるために、新築はもちろん省エネ改修も対象にしたさまざまな補助制度を打ち出しています。
これらを上手に活用して、負担を軽減しながら快適で健康な住まいを実現したいですね。
国は2022年末に「住宅省エネ2023キャンペーン」をスタート
最近では、2022年12月に国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携して「住宅省エネ2023キャンペーン」を始めました。
国土交通省が取り組む「ZEH住宅の取得への支援」、3省が連携した「住宅の省エネリフォーム支援」について広く情報発信し、柱となる3つの支援策の活用につなげようとしています。
「住宅省エネ2023キャンペーン」で取り組む主な支援事業
※詳細や最新情報は「住宅省エネキャンペーン」公式サイトをご確認ください。
名称 | 対象 | 内容 | 補助額 | 所管 | 公式サイト |
こどもエコすまい支援事業 | 新築・購入 | 子育て世帯・若者夫婦世帯が高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する住宅を新築・購入したり、省エネ改修をしたりする場合に国から補助金を交付 | 1戸につき100万円 | 国土交通省 | https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/ |
改修 | 1戸あたり最大30万円 ※子育て世帯・若者夫婦世帯などは最大45万円 | ||||
先進的窓リノベ事業 | 改修 | 既存住宅における窓の高断熱化を促進するため、改修に係る費用の一部を補助 | 1戸あたり5万~最大200万円を補助(実施する補助対象工事の内容に応じて) | 経済産業省・環境省 | https://window-renovation.env.go.jp/ |
国土交通省の「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯がZEH水準の省エネ住宅を新築・購入する場合や省エネ改修を対象にしています。
新築の場合1戸につき100万円が補助され、改修では1戸あたり最大30万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は最大45万円)が補助されます。
経済産業省や環境省が連携した「先進的窓リノベ事業」は、熱損失が最も大きい「窓」の断熱性能を向上させる改修を補助することで、省エネにつなげようとする事業です。
補助額は補助対象となる工事によって変わりますが、1戸あたり5万円~最大200万円とされています。
住宅全体の断熱性能を向上させる改修が理想的ですが、まずは窓を高断熱化するだけでも大きな一歩になります。
地方自治体もさまざまな補助メニューを用意
こうした動きは国だけではありません。
近年では、省エネ性能や断熱性能が高い住宅の新築・改修に対する補助制度を用意する自治体が相次いでいます。
中には、鳥取県などのように省エネ住宅の先進地とされるヨーロッパ水準を目指した取り組みを進めている自治体もあります。
地方自治体による省エネ住宅への補助の事例 ※2022(令和4)年度
自治体 | 名称 | 内容 | 補助額 | ホームページ |
岩手県 | 住まいの省エネルギー改修推進事業 | 戸建て住宅の省エネ改修・計画策定・省エネ診断 | 省エネ改修:ZEH水準(1戸あたり上限額102万5,000円)、省エネ基準(1戸あたり上限額76万6,000円) 計画策定:1戸あたり上限額30万円 省エネ診断:15万円 | 岩手県 – 令和4年度「住まいの省エネルギー改修推進事業」の開始について (pref.iwate.jp) |
宮城県 | スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金 | みやぎゼロエネルギー住宅(省エネ地域区分ごとに独自に設定したUA値の基準などの条件を満たす住宅が対象)、省エネ改修など | みやぎゼロエネルギー住宅:1戸につき40万円 省エネ改修:改修部位・範囲により2,000円~10万円 | 令和4年度スマートエネルギー住宅普及促進事業補助金について – 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp) |
鳥取県 | とっとり未来型省エネ住宅特別促進事業 | 鳥取県独自の省エネ住宅性能基準(T-G1、T-G2、T-G3)に対応しているなどの条件を満たす住宅に補助金を交付 | T-G1(UA値0.48):60万円、T-G2(UA値0.34):80万円、T-G3(UA値0.23):100万円 ※改修についても内容に応じて最大100万円を補助 ※さらに県産材の使用などを条件とした「とっとり住まいる支援事業」により最大100万円を補助(改修の場合は最大50万円) | とっとり健康省エネ住宅/とりネット/鳥取県公式サイト (tottori.lg.jp) |
仙台市 | 仙台市熱エネルギー有効活用支援補助金 | 窓断熱改修など | 窓断熱改修の場合:工事箇所1カ所あたり8,000~2万円(1棟あたり上限額10万円) | Let’s熱活!補助金(熱エネルギー有効活用支援補助金)に係る申請|仙台市 (city.sendai.jp) |
国や地方自治体による省エネ住宅の新築・改修への支援について見てきました。
これまでにも税制や金利の優遇などを含め、省エネ性能や断熱性能の向上に対するさまざまな補助制度が打ち出されてきましたが、建築物省エネ法の改正により、今後はこうした動きがさらに広がることが期待されています。
補助制度についての最新の情報に注意しながら、条件に合った制度を活用して、納得できる家づくりにつなげたいですね。