住宅の省エネ対策にとって大きな画期となった建築物省エネ法の改正。
なぜ今、こうした取り組みが必要とされたのでしょうか。
その背景を探ってみましょう。
2050年カーボンニュートラルの目標が大きな画期に
まず注目したいのは、建築物省エネ法改正に先立つ2021年10月。
地球温暖化対策計画を政府が決定し、日本の温室効果ガス削減目標がそれ以前のものから一気に引き上げられました。
その内容はこうです。
・2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を実現
・そのために、まずは2030年度までに温室効果ガスの46%削減(2013年度比)を達成
目標実現のためには、産業部門はもちろん、国内のあらゆる分野で取り組みを強化する必要があります。
日本が排出する温室効果ガスのおよそ9割は二酸化炭素(CO₂)が占めています。 家庭部門については、2030年度までにCO₂排出量を2013年度比で66%削減する目標が設定されました。
2030年度のCO₂排出量46%削減(2013年度比)に向けた主な部門の削減目標
温室効果ガス排出量(単位:億t-CO₂) | 2013年度排出実績 | 2030年度排出量 | 削減率 | 従来目標 | ||
14.08 | 7.60 | ▲46% | ▲26% | |||
エネルギー起源CO₂ | 12.35 | 6.77 | ▲45% | ▲25% | ||
産業 | 4.63 | 2.89 | ▲38% | ▲7% | ||
業務その他 | 2.38 | 1.16 | ▲51% | ▲40% | ||
家庭 | 2.08 | 0.70 | ▲66% | ▲39% | ||
運輸 | 2.24 | 1.46 | ▲35% | ▲27% | ||
エネルギー転換 | 1.06 | 0.56 | ▲47% | ▲27% |
目標達成に向けて温室効果ガスの削減を進めるには、どのような対策を取ればいいのでしょうか。
建築物省エネ法改正の背景 その①
目標達成の鍵を握る「省エネ」
鍵を握る対策の一つが「省エネルギー」です。
住宅を含む建築物分野は、日本のエネルギー消費量の約3割を占めています。 建築物省エネ法の改正によって、建築物分野での省エネ対策が加速することになったのです。
住宅の省エネ対策を進める上で、「断熱性能の向上」は大きな意味を持ちます。
冷暖房は家庭で使うエネルギーの約30%を占めるとされています。 断熱性能が高く、室温が快適に保たれている家であれば、冷暖房の使用量を低減させることができ、省エネ対策で大きな効果を発揮します。
建築物省エネ法改正の背景 その②
CO₂の「森林吸収源」対策として木材利用の促進も
法改正のもう一つのねらいは、建築物分野での木材利用を促進することです。
CO₂排出量の削減にとって、光合成により大気中のCO₂を吸収してくれる森林は大きな存在。
その役割をしっかり果たしてもらうには、健康で豊かな森林づくりが欠かせません。
そこで必要になるのが、適切な間伐や植林によりしっかりとした管理をして森林を健全に保ち、森林のCO₂吸収量を確保する「森林吸収源対策」です。
建築物分野は木材需要の約4割を占めており、木材を利用して適切な森林管理につなげる取り組みが期待されています。
北洲は、断熱性能を高めた省エネ住宅に取り組んでいるだけでなく、環境負荷を低減した快適な木造建築も手掛けています。
北洲が長年にわたり取り組んできた家づくりは、建築物省エネ法の改正が目的とする「省エネ対策の加速」と「木材利用の促進」にかなうものとなっています。