住まいと健康

Health

ヒートショック防止?やってはいけない暖房方法。

寒いお風呂や脱衣所が引き起こすヒートショックの危険性については、
交通事故死の約3倍!本当は怖い家庭内事故死と寒さの関係で紹介した。

そんな中、脱衣所を暖めるための方法として「脱衣所をストーブで暖める」という手段をとっている方も多いかもしれない。
しかし、それは非常に危険な一面もある。

 

幼い子どもが亡くなるケースも。

実は、日常的に脱衣所を電気ストーブで暖めていたことが原因で、火災を引き起こしてしまったというケースが少なくないのだ。
多くは衣類やタオルなどに引火したことが原因。
中には、幼い子どもの命が奪われる、という痛ましいケースもある。

お風呂に入るまでに寒い思いをしたくない、させたくない、という家族の思いが
逆に悲しい事故を引き起こしてしまうのは、なんとも切ない限りだ。


※写真はイメージ

 

手っ取り早い方法ではあるが・・・。

暖房器具を使って寒い場所を局所的に暖めるというのは、確かに手っ取り早い方法ではある。
しかし、暖房器具ならではの限界もある。

①温度にムラができる。
ストーブやヒーターであったまった部屋を想像してほしい。
熱が当たっているところは熱いくらいなのにもかかわらず、
それ以外のところは寒い、ということがある。
また、暖かい空気は上に昇る。その結果、「頭はボーッとするが、足元はヒンヤリ」なんていう
状態も思い当たる人は多いのではないだろうか。

②空気が汚れる。
特に石油ファンヒーターなどでは、燃焼による生成物によって室内の空気が汚れるため、
暖房使用時には定期的に換気することが推奨されている。
主な成分である一酸化窒素及び二酸化窒素は、気管支炎や喘息の原因にもなりえるのだ。

③ランニングコストがかかる。
暖房のエネルギー消費量は、家庭内消費の実に40%を占めるという調査結果も。
局所的に暖房器具をたくさん使用している家庭であればあるほど、その分かなりの
ランニングコストがかかっていることになる。

④場合によっては火災の危険性も。
使用方法を誤ると、冒頭のような痛ましい事故につながることも。
電化製品の中でも特に火災への注意を必要とすることは誰もが認めるところだろう。

もちろん、使い方によっては非常に有用な暖房器具ではあるが、
そのデメリットについてもしっかりと理解しておきたいところだ。

 

やはり、家そのものの断熱性能を高めることが一番の近道。

暖房器具に頼ることなく、家の性能で暖かさと温度差のない空間を実現させてあげるのが、
やはりベストな方法であろう。

もちろん初期投資は必要だが、その後ずっと冷暖房代が抑えられるという点に加え、長期的な健康リスクも抑えられるという点を考えれば、その投資効果は大きい。

 

家全体の改修が理想。でも「ゾーン断熱」という方法も。

家全体を改修するのが理想だが、エリアを絞って断熱改修をするという方法もある。

部屋ごとだと、暖かくした部屋から出た時のヒートショックは変わらないので、
「部屋を含む一帯」を断熱改修するという考え方だ。
例えば、浴室と脱衣所をセットで考えたり、リビングと廊下までのゾーンを重視したり、
予算とニーズに応じて柔軟に検討できるところがポイントだ。

暖房器具に頼るより先に、ゾーン断熱改修などで住宅性能の向上を検討することをオススメしたい。
それが家族の健康を守る近道になることだろう。

 
次回はさらに断熱改修の方法について掘り下げる。